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夜泣き地獄で途方に暮れた僕に、妻がくれた『寝かしつけ交代』以外の提案

あの頃の僕にとって、夜はまさに「地獄」でした。生まれたばかりの長男が夜泣きをするたび、僕たちの生活は一変。特に夜中の2時や3時になると、けたたましい泣き声が静まり返った家中に響き渡り、僕の心臓は毎回、嫌な音を立てました。

妻も僕も、日中の疲れが全く取れないまま、フラフラの状態で育児と家事をこなしていました。僕はなんとか妻を休ませようと、夜泣きが始まると「よし、僕に任せてくれ!」と意気込んで抱っこするのですが、経験の浅い僕では赤ちゃんを泣き止ませることもできず、途方に暮れるばかりでした。

そのたびに妻が起きてきて、「大丈夫だよ、私が代わろうか」と声をかけてくれるのですが、僕は「僕が役に立てていない」という罪悪感に苛まれました。「ありがとう、でももう少し頑張らせてほしい」と、焦れば焦るほど、赤ちゃんは激しく泣き続けるんです。

夜中のリビング、途方に暮れる僕の隣で

ある夜、時計の針は午前3時を指していました。いつもと同じように、僕の腕の中で長男は激しく泣き叫んでいます。部屋中を歩き回り、歌を歌い、色々なことを試しましたが、全く効果はありません。

長男の小さな体は、泣きすぎてぐったりしているのに、それでも声を上げ続けています。僕はもう、どうしていいか分からず、ただリビングのソファに座り込み、「ごめん…ごめんな…」と、震える声で謝ることしかできませんでした。その時、隣で寝ていたはずの妻が、静かに起き上がってきました。

「ねえ、あなたも疲れたでしょ。いつも頑張ってくれて、本当にありがとう」

そう言って、僕の腕からそっと長男を受け取ってくれました。僕は「申し訳ない」という気持ちと「助かった」という安堵が入り混じった複雑な感情で、何も言葉が出ませんでした。

妻は長男を抱きかかえ、慣れた手つきで優しく揺らしながら、僕の隣に座ります。僕はてっきり、「あとは私がやるから、あなたはもう寝ていいよ」と言われるものだと思っていました。いつもそうでしたから。

妻がくれた、予想外の「提案」

しかし、妻の口から出た言葉は、僕の予想とは全く違うものでした。

「ねえ、私、違うこと考えてるんだけど。もし良かったら、あなたは隣でただ、私の手を握っててくれないかな?

僕は一瞬、「え、どういうこと?」と頭の中が真っ白になりました。寝かしつけを「交代」するのではなく、ただ「隣にいて、手を握る」? そんなことで何が変わるのだろうか、と。

しかし、妻の瞳は真剣でした。僕は言われるがまま、そっと妻の手を握りました。その手は少し冷たくて、でもしっかりと、僕の指を包み込んでくれました。

ただ「隣にいる」ということ

その夜も、長男はすぐに寝てくれたわけではありません。それでも、妻が僕の手を握り、僕が妻の手を握ることで、部屋の空気は明らかに変わったように感じました。

僕は「自分が寝かしつけなければ」というプレッシャーから解放され、ただ妻の隣にいることができました。妻もまた、一人で夜泣きの対応をしているわけではない、と感じてくれたのかもしれません。

それからの夜泣きの時間は、以前とは全く違うものになりました。僕が長男を抱っこしているときは妻が僕の手を握り、妻が抱っこしているときは僕が妻の手を握る。

この「手をつなぐ」という行為は、僕たち夫婦にとって、単なる身体的な接触ではありませんでした。それは、「一人じゃない」という確かなメッセージであり、無言のサポートでした。

もちろん、夜泣きそのものがなくなったわけではありません。疲れが溜まる日もたくさんありました。しかし、夫婦二人でこの困難に向き合っているという感覚が、僕たちの心をどれほど支えてくれたか分かりません。

すべての人に当てはまるわけではないけれど

夜泣きに奮闘しているとき、僕たちはつい「どうすれば泣き止むのか」「どうすれば早く寝てくれるのか」といった具体的な解決策ばかりを求めてしまいがちです。僕もそうでした。

しかし、妻が教えてくれたのは、時には「ただそこにいること」、そして「誰かと共にいること」が、何よりも大きな支えになる、ということでした。

もちろん、これは僕たち夫婦にとっての解決策であり、すべての人に当てはまるわけではないでしょう。赤ちゃんも一人ひとり違うし、夫婦の関係性もそれぞれです。でももし、あなたが今、夜泣き地獄で途方に暮れているとしたら、時には「寝かしつけを交代する」という直接的な方法ではなく、「隣にいて、ただ手を握る」という、一見すると何の役にも立たないような行為が、心の奥底で大きな変化を生み出すこともあるのかもしれません。

あの夜、妻がくれた「寝かしつけ交代」以外の提案は、僕たちの夫婦関係をより深く、そして強くしてくれる、かけがえのない経験となりました。

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