「いってらっしゃい!楽しんできてね!」
土曜日の朝、私は笑顔で妻を見送りました。妻は数年ぶりの友人の結婚式。私と1歳の息子にとっては、初めての「1日丸ごとワンオペ育児」のスタートでした。「まあ、なんとかなるだろう」と軽く考えていた私は、この後、人生で一番長い1日を過ごすことになります。
目次
朝9時、笑顔の妻を見送った直後に始まった大合唱
おもちゃを投げ捨て、僕の足にしがみつく1歳児
リビングに戻ると、さっきまでご機嫌だった息子が、玄関を指さして泣き始めました。「ママ、ママぁ!」と叫ぶ息子の声を、私はお気に入りのおもちゃで気を引こうと必死になります。しかし、息子は差し出したミニカーを全力で投げ捨てました。ガシャーンと響く音。私の足にしがみつき、顔を真っ赤にして泣き叫ぶ息子。「どうして?さっきまであんなに笑っていたのに…」私の心に、少しずつ焦りが生まれ始めました。
開始3時間で限界に。散らかったリビングと冷めた離乳食
「ママがいい!」の泣き声に、ただ立ち尽くす僕
お昼の12時。リビングは、投げ散らかされた絵本やおもちゃで足の踏み場もない状態でした。せめてご飯を食べさせようと、用意していた離乳食を電子レンジで温めます。スプーンを口元に持っていきますが、息子は手で「イヤ!」と払い除け、スープが床に飛び散りました。「食べないの?美味しいよ?」と声をかけても、返ってくるのは激しいギャン泣きだけ。冷めていく離乳食と、床のベタベタを拭くティッシュの山。時計を見ると、まだお昼。妻が帰るまで、あと8時間もあります。「もう無理かもしれない…」私は、おもちゃの散乱するリビングの真ん中で、ただ立ち尽くしてしまいました。涙がこぼれそうでした。
夕方、妻が帰ってきたときの安心感と、僕が心に誓ったこと
午後も抱っこし続け、私の腕はパンパンでした。夕方18時、インターホンが鳴り、妻がドアを開けました。「ただいまー!大丈夫だった?」その声を聞いた瞬間、私の張り詰めていた糸がプツリと切れました。「おかえり…本当に、本当に大変だった…」妻の顔を見た瞬間の安心感は、今でも忘れられません。私がたった1日でこれほど疲弊したのに、妻は毎日この時間と戦ってくれていたのです。
育児は、タイムスケジュール通りには1ミリも進まない。そして、毎日これを笑顔でこなしていた妻への感謝が、心の底から湧き上がりました。
この日以来、私は「家事を手伝う」というスタンスを捨て、当事者として育児に向き合うようになりました。