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「今すぐお迎えに…」保育園からの突然の呼び出しに頭が真っ白になった日。仕事と看病の狭間で葛藤しながら、熱を出した息子と2人で過ごした忘れられない1日の記録

あの日、私は完全に心の余裕を失っていました。迫り来るプレゼン資料の締め切り。カタカタとキーボードを叩く音だけが響くオフィスで、私の焦りはピークに達していました。

「よし、あと1時間で終わらせるぞ!」そう意気込んでいた午後2時。デスクの上のスマホが、ブブブと不穏な音を立てて震えだしたのです。画面に表示されたのは、息子の通う保育園の電話番号でした。

突然の電話、頭が真っ白になった瞬間

嫌な予感を抱えながら通話ボタンを押すと、先生の焦ったような声が聞こえてきました。

先生
「〇〇くんのお母さん、すみません。〇〇くん、急に38.5度のお熱が出てしまって。今すぐお迎えに来られますか?」

その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中は真っ白になりました。脳裏をよぎったのは、作りかけの資料と、明日の会議のこと。そして、心の片隅で醜い感情が芽生えてしまいました。

(どうして、よりによって今日なの……?)

そう思ってしまった自分自身に、すぐに激しい自己嫌悪が襲いかかります。熱を出して苦しんでいるのは、大好きなはずの我が子なのに。

謝りながら走った、職場から保育園への道

「はい、すぐに向かいます!」と電話を切り、私は大急ぎで荷物をまとめ始めました。隣の席の先輩に「すみません、子どもが熱を出してしまって…」と頭を下げると、先輩は優しく「大丈夫だから、早く行ってあげて!」と言ってくれました。

その優しさが、逆に私の心に突き刺さります。申し訳なさと情けなさで、涙がこぼれそうになるのを必死でこらえながら、駅まで全力で走りました。電車の待ち時間すら、1分が1時間のように感じられて仕方がありませんでした。

保育園の保健室で見つめ合って

ゼェゼェと息を切らしながら保育園に到着し、保健室のドアを開けました。そこには、おでこに冷たいシートを貼り、ベッドに力なく横たわっている小さな息子の姿がありました。

私に気づいた瞬間、息子は「ママ…」と弱々しい声で呟き、小さな手を伸ばしてきました。その手は信じられないほど熱く、私の心は締め付けられました。

「ごめんね、お待たせ。もう大丈夫だよ」

抱き上げた息子の身体の重みと、伝わってくる熱気に、さっきまで仕事のことを気にしていた自分を心から恥じました。この子は今、私だけを必要としているのに。

葛藤を捨てて、ただ寄り添った「2人の時間」

家に帰り、小児科で薬をもらって布団に寝かせました。いつもなら元気に部屋を走り回っている息子が、じっと目を閉じて苦しそうに呼吸をしています。

私は枕元に座り、息子の小さな手をずっと握り続けました。時折、息子が不安そうに目を開けては、私の顔を見て安心したようにまた目を閉じます。その姿を見ながら、私は仕事のメールチェックをすることをやめました。今日はもう、この子のママでいることだけに専念しようと決めたのです。

★ 看病のなかで気づいたこと

仕事の代わりは誰かができるけれど、この子の母親の代わりは誰にもできない。あたりまえのはずのその事実に、私は追い詰められて初めて気づかされました。

静かな部屋で、息子の寝息だけが聞こえる時間。窓の外がだんだんと暗くなっていくのを眺めながら、私は久しぶりに、ただただ息子と、何にも邪魔されない「2人きりの時間」を深く過ごしていました。

夜が明けて、私の中に生まれた変化

翌朝、息子の熱はすっきりと下がり、いつものように「ママ、お腹すいた!」と笑顔を見せてくれました。そのいつもの笑顔を見た瞬間、心の底からホッとして、体中の力が抜けていくのが分かりました。

今回の突然の呼び出しは、忙しさに追われて一番大切なものを見失いかけていた私に、立ち止まるきっかけをくれたのかもしれません。仕事も大切ですが、この小さな手を握りしめることができる時間は、今しかないのです。

今日もまた忙しい日々が始まりますが、あの日息子の小さな手から感じた熱さと、その時に決意した想いは、私の胸にずっと残り続けています。

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