32歳になった僕が、マッチングアプリに真剣になり始めたのは、本当に最近のことでした。周りの友人が次々と結婚していくのを見て、「このままじゃまずい」と焦りを感じていたからです。正直なところ、アプリでの出会いは数えるほどしか経験がなく、これまでも何度か失敗はありました。
メッセージのやり取りが続かない。会っても2回目につながらない。そんなことばかりで、正直「僕には向いてないのかな」と諦めかけていたんです。そんな僕にとって、彼女との出会いはまるで一筋の光のように感じられました。
目次
「この子だ!」と直感した最初の出会い
彼女とは、アプリを通して知り合いました。プロフィール写真の笑顔に惹かれ、メッセージを送ったのが始まりです。驚くほど返信が早く、しかも内容が丁寧で、すぐに彼女に好感を抱きました。趣味の話で盛り上がり、映画の好みが似ていることや、お互いの休日の過ごし方も共通点が多いことが分かり、メッセージのやり取りはあっという間に毎日続くようになりました。
「これは実際に会ってみたい」
そんな気持ちが募り、勇気を出して食事に誘ってみたんです。初めて会ったのは、少し落ち着いた雰囲気のカフェでした。
「はじめまして!〇〇です。今日はありがとうございます。」
「こちらこそ!お会いできて嬉しいです。」
写真で見た通りの、いやそれ以上に素敵な女性でした。緊張していた僕を和ませてくれるような、穏やかな話し方。共通の話題では目を輝かせ、時に声を出して笑ってくれる。あっという間に時間が過ぎていき、「これは、もしかしたら本物かもしれない」と、僕の胸には小さな期待が芽生えたのを覚えています。
順調に進んだ2回目のデート。「次で告白だ」と意気込んだ僕
1回目のデートの後、彼女からすぐに「今日はありがとうございました!楽しかったです」とLINEが届き、僕はホッと胸をなでおろしました。すぐに次のデートに誘い、承諾してもらえた時には、思わずガッツポーズをしたほどです。2回目のデートは、少しおしゃれなレストランを予約しました。初回よりもさらに打ち解け、お互いの仕事の話や、学生時代の思い出、将来の夢についてまで、深い話ができたと感じています。
彼女は僕の話に真剣に耳を傾けてくれて、的確な相槌を打ってくれる。僕も、彼女の話に前のめりになって聞いていました。会話のテンポも心地よく、まるで長年の友人のようだと感じたんです。
「〇〇さんと話してると、本当に時間が経つのがあっという間ですね。」
「本当ですね!私もこんなに話が弾む人、久しぶりです。」
解散する時も、お互い名残惜しそうな顔をしていました。別れた後、僕はすっかり彼女に夢中になっていたと思います。心の中では、「次こそは、ちゃんと気持ちを伝えよう」と決意していました。
3回目のデートで「最高の雰囲気」だったはずなのに……
そして迎えた3回目のデート。僕は少し背伸びをして、普段はあまり行かないような、夜景が見えるおしゃれなバーを予約しました。このデートで告白するつもりだったので、雰囲気は完璧にしたかったのです。デート中、会話は途切れることなく、お酒も手伝って僕の気分は最高潮でした。彼女も楽しそうに笑ってくれていたように見えましたし、僕の話にも熱心に耳を傾けてくれている。
「今日は完璧だ。彼女も楽しそうにしてくれているし、僕の話にも真剣に耳を傾けてくれる。このままいけば、次で告白できるかもしれない。」
そう確信めいた気持ちが、僕の胸を熱くしていたんです。僕は将来の理想の暮らしについて、熱く語ってしまいました。「こんな家に住んで、休日は〇〇に行って……」と、夢中で話す僕に、彼女は少し微笑んでいるように見えました。
その時、ふと彼女が一瞬だけ、グラスの氷をじっと見つめていたような気がしたんです。でも、僕はその時は特に気にしませんでした。すぐに笑顔に戻っていたので、「考え事をしているのかな?」くらいにしか思わなかったんです。最高の雰囲気の中、僕は「手応えは十分!」と、確信を持って彼女を家まで送りました。
デート後、突然の音信不通
デートの別れ際も、彼女は「今日は本当にありがとうございました!」と、笑顔で手を振ってくれました。僕はその夜、嬉しくてなかなか寝付けなかったことを覚えています。翌日、お礼のLINEを送りました。「昨日はありがとうございました!本当に楽しい時間でした。また近いうちにお会いしたいです。」
既読にはすぐになりました。しかし、返信が来ない。最初は「忙しいのかな」と気楽に考えていました。でも、翌日になっても、その翌日になっても、彼女からの返信はありませんでした。不安が募り、何度もスマホを手に取っては、LINEの画面を開いてしまいます。
「あれ?もしかして、何かあったのかな?」
「僕、何か失礼なこと言ったかな?」
様々な疑問が頭の中を駆け巡りましたが、心当たりは全くありません。あの日のデートは、本当に最高の雰囲気だったはずなんです。しかし、その後、彼女から連絡が来ることはありませんでした。僕は、突然の音信不通に、ただただ困惑するばかりでした。
あの日の僕に足りなかった「大切なこと」
数週間経っても、彼女からの連絡はありませんでした。僕は、何が悪かったのか、何度も何度もあの日のデートを振り返りました。1回目、2回目のデートは、あんなに楽しかったのに。3回目で何かが決定的に変わってしまったのでしょうか。僕は、あの日の会話を思い返しました。
「こんな家に住んで、休日は〇〇に行って……」
僕が熱く語っていた、理想の将来像。彼女は微笑んでいたけれど、あの時、一瞬グラスを見つめていたあの表情……あれは、一体何を意味していたんだろう?その時、僕はハッとしました。
💡 気づき
あの時、僕は彼女の話を聞くことよりも、自分の「理想」を語ることに夢中になっていました。「僕の楽しい」や「僕の素晴らしい未来」を押し付けていただけだったのかもしれません。
僕は、自分が良い雰囲気を作れていると信じ込み、「手応えがある」と感じていたのは、完全に僕だけの思い込みだったのです。彼女は僕の熱弁に、ただ気を遣って微笑んでくれていただけかもしれません。僕は彼女の言葉の裏にある、本当の気持ちや、彼女自身の理想を深く掘り下げようとはしていなかった。「僕の話を受け入れてくれている=好意がある」と、都合良く解釈していたんです。
まとめ:すべての人に当てはまるわけではないけれど
今回の経験を通して、僕は本当に大切なことを学びました。マッチングアプリでの出会いも、現実の出会いも同じだと思います。「相手がどう感じているか」を想像し、相手の言葉だけでなく、表情や仕草から「本当の気持ち」を読み取ろうとすることの大切さです。
僕が体験した音信不通の理由は、もしかしたら彼女自身に別の事情があったのかもしれません。すべての人に当てはまるわけではありませんし、正解があるわけでもないでしょう。しかし、少なくとも僕にとっては、この経験は、相手を「理解する」ことの奥深さに気づかせてくれる、貴重な教訓となりました。
もし今、あなたが僕と同じように、マッチングアプリで「手応えはあったはずなのに……」と悩んでいるなら、一度立ち止まって、相手の気持ちに寄り添うことができているか、自分の言動を振り返ってみるのも良いかもしれませんね。僕もこれからは、もっと相手の心に耳を傾けるように心がけていこうと思います。