それは、ある日の夕方、楽しみにしていた打ち合わせの直前のことでした。
いつもより少しだけ高揚した気分で、最終確認のメールをチェックしていると、見慣れない件名のメールが届きました。開いてみると、そこにはこんな一文が。
「申し訳ありません、急な用事ができてしまいまして、一度リスケさせていただけますでしょうか?」
瞬間、胸の奥にじわりと広がる「がっかり」という感情。
もちろん、相手にも都合があるのは重々承知です。でも、どうしても期待していた分、少しだけ肩を落としてしまいました。
目次
期待と不安の狭間で揺れる「また連絡します」
僕はすぐに返信しました。「かしこまりました。また改めてご連絡いただければ幸いです。」と。
その日はそれで終わりましたが、数日経っても連絡はありません。最初は「忙しいのかな」と気楽に構えていました。
しかし、1週間、2週間と時間が過ぎるにつれて、胸に小さな不安の種が芽生え始めます。
「あれ?連絡来ないな…」
そして、自分から恐る恐る「〇日と〇日はいかがでしょうか?」と、都合の良い日をいくつか提案してみました。
すると、相手からはこんな返信が。
「ありがとうございます!また改めて調整してご連絡しますね!」
丁寧な言葉遣い。
でも、心の中で「これ、よくある『また連絡します詐欺』じゃないか…?」という疑念が頭をもたげました。
具体的な日程調整には至らず、再び「向こうからの連絡待ち」という宙ぶらりんな状況に逆戻りです。
胸に広がる、じわりとした諦めの気持ち
そこから、また2週間が経ちました。もう、かれこれ1ヶ月近く連絡が途絶えています。
さすがに、もう無理だろうな、という気持ちが胸を支配し始めました。
「やっぱり、僕との打ち合わせは優先度が低かったんだな…」
そんなことを考えると、もう一度連絡を取るのも億劫になりました。
追いかけるような形になるのは嫌だし、何より、相手に「しつこい」と思われたくない。自分のプライドも邪魔をします。
そして、僕は静かに諦めることにしました。
「もう仕方ないか。縁がなかったんだ。」心の中でそう呟き、その打ち合わせのことは、そっと心の片隅に押し込めたのです。
小さなきっかけがくれた、もう一度の勇気
それから、さらに数週間が過ぎたある日のことでした。ふとしたきっかけで、その方と共通の話題に関するニュース記事を目にしたのです。
あの時もし会えたら話そうとしていたテーマと、まさにドンピシャの内容でした。
記事を読みながら、ふと「もし会えていたら、この話で盛り上がれただろうな」という思いが頭をよぎりました。
諦めていたはずなのに、この機会を逃すのはもったいない、と直感したのです。
「でも、今さら連絡するのもなあ…」
そんな葛藤が胸を締め付けます。
しかし、もう一度だけ、勇気を出してみよう。
ただし、今度は相手にプレッシャーを与えない形で。
そう決意しました。
プレッシャーゼロの「あのメッセージ」
僕は、そのニュース記事のリンクを添えて、こんなメッセージを送ってみました。
「〇〇さんの興味がありそうな記事を見つけました!もしよければぜひ。ご多忙かと思いますので、返信は不要です。」
返信は不要、と付け加えたのは、本当に相手に負担をかけたくなかったからです。
ただ、純粋に「これ、面白いですよ」と伝えたかっただけ。
送信ボタンを押した後は、もう心臓がバクバクでした。
「既読スルーかな…」「変に思われるかな…」と、何度もスマホを手に取っては置いてを繰り返していました。
それから数時間後、スマホが「ピコン」と鳴りました。恐る恐る画面を開くと、そこにはまさかの返信が。
「わ、これ気になってたんです!ありがとうございます!そういえば、ぜひ一度お話ししませんか?」
僕は自分の目を疑いました。
「え、まさか!」と声が出そうになったのを必死で抑えました。
まさか、向こうから「再会」を提案してくるなんて、夢にも思っていなかったからです。
再会の喜び、そして気づき
あれだけ連絡が途絶えていたのが嘘のように、その後はスムーズに日程が決まり、無事に再会することができました。
実際に会ってみると、相手の方は「あの時は本当にバタバタで、連絡する余裕がなくて申し訳なかったです。でも、あの記事を送ってくれて、改めて『話したい!』って思いました」と、笑顔で話してくれました。
その言葉を聞いて、僕は心底ホッとしました。
僕への興味がなかったわけでも、避けられていたわけでもなかった。
本当にタイミングが悪かっただけだったんだ、と。
全ての「リスケ」が終わりではない
この経験から、僕は大切なことを学びました。
「リスケ」や「また連絡します」は、必ずしもネガティブな終わりを意味しない。
相手の状況を思いやり、プレッシャーを与えない形で、別の角度から再度アプローチすることで、関係が復活することもある。
もちろん、これで全てがうまくいくわけではないでしょう。
でも、一度は諦めかけた関係が、ちょっとした工夫で「逆転」することもあるんだ、ということを身をもって体験しました。
もし今、あなたが「リスケからの連絡途絶」で悩んでいるなら、すぐに諦めてしまうのは、もしかしたら少し早いのかもしれません。
ただし、この方法は万人に当てはまるわけではありません。相手の状況やこれまでの関係性によって、適切なアプローチは異なります。
僕の体験が、あなたの次の行動へのヒントになれば幸いです。