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仕事に追われる毎日のなか、ふと「このままでいいのか?」32歳で僕が立ち止まった日の話

「このままでいいのか?」

その言葉が、僕の頭の中を駆け巡ったのは、32歳の夏の終わりでした。
毎日、朝早くから夜遅くまで、ひたすら仕事に没頭する日々。
満員電車に揺られ、オフィスに着けば鳴り止まないメールの通知。

会議、資料作成、顧客対応……。
目の前のタスクをただひたすら消化していくうちに、あっという間に一日が終わります。
達成感がないわけではありませんでしたが、心の奥底にはいつも、「本当にこれで良いのだろうか?」という漠然とした不安が貼り付いていました。

終わらない仕事、そして無音の帰り道

ある日のこと。
その日も午前様で、終電を逃しました。
タクシーに揺られながら、ふと窓の外を眺めると、街の明かりがぼんやりと流れていきます。

いつもなら、その日の反省点や明日のタスクを頭の中で整理しているはずなのに、その晩は何も考えられませんでした。
というより、考える気力さえ残っていなかったのかもしれません。

家に着いてシャワーを浴び、冷蔵庫から取り出した缶ビールを一口。
「プシュッ」という音だけが、やけに大きく響きました。
部屋には、静寂だけが漂っています。いつもは気にも留めないその静けさが、その夜はなぜか、心の奥底に染み渡るように感じられたのです。

(あぁ、また一日が終わったのか……)
(一体、何のために働いているんだろう)

そんなことを漠然と考えていると、ふと、デスクの隅に置いてあった古い写真立てが目に入りました。
そこには、新卒で入社したばかりの頃の僕が写っています。
希望に満ち溢れた、キラキラした笑顔。
今の僕とは、まるで別人のようでした。

友人との再会が、僕の心を揺さぶった

翌週、久しぶりに学生時代の友人と会うことになりました。
彼は大学の同級生で、当時は僕と同じように大手企業でバリバリ働いていました。
約束のカフェで待っていると、少し遅れて彼が現れました。

「悪い、悪い! ちょっと仕事が長引いちゃってさ」
「いや、大丈夫だよ。お前も大変そうだな、相変わらず」

そう言いながら彼の顔を見ると、なんだか以前よりも生き生きしているように見えました。
大手企業を辞めて、今は地方で小さなゲストハウスを経営していると聞いていたのですが、その表情は充実感に満ちていました。

「そりゃあ、大変だよ。でも、自分のやりたいことだからさ、毎日が楽しいんだよ」

彼の言葉を聞いて、僕は少しだけ気まずさを感じました。
僕自身も「やりたいこと」を胸に秘めていたはずなのに、いつの間にか日々の忙しさに流されて、見失っていたことに気づかされたからです。
その時、僕の中で何かが音を立てて崩れるような、不思議な感覚がしました。

「このままでいいのか?」という問いと向き合う

友人と別れた帰り道、僕は一人、考え事をしながら歩いていました。
彼の言葉と、新卒の頃の自分の写真。
それらが頭の中でぐるぐると巡り、「このままでいいのか?」という問いが、より鮮明に心に響いてきました。

もちろん、今すぐに何かを劇的に変えられるわけではないと分かっていました。
いきなり会社を辞めるような大胆な行動は、当時の僕にはできませんでした。
でも、この漠然とした不安を抱えたまま、この先何十年も生きていくのは嫌だ、と強く思ったのです。

(立ち止まることって、決して悪いことじゃない)
(むしろ、必要なことなのかもしれない)

僕が立ち止まった日は、劇的な変化があったわけではありません。
しかし、「このままでいいのか?」という問いと真剣に向き合うきっかけになった日でした。
小さな違和感や友人の言葉が、僕の心を大きく揺さぶったのです。

立ち止まったその先に、見えたもの

その日を境に、僕の日常が劇的に変わったわけではありません。
相変わらず仕事に追われる毎日でしたし、抱えていた問題がすぐに解決したわけでもありません。
でも、僕の「心の持ちよう」は確かに変化しました。

これまでのように、ただ目の前のタスクをこなすだけでなく、「本当に自分がしたいことは何だろう?」と自問自答する時間を意識的に作るようになりました。
以前なら考えもしなかったようなセミナーに参加してみたり、興味のあった分野の本を手に取ってみたり。小さな一歩かもしれませんが、僕にとっては大きな変化でした。

あの時、仕事に追われる毎日のなか、ふと「このままでいいのか?」と立ち止まったあの日の決断は、僕の人生の転機だったと、今では強く感じています。

最後に

今回お話したことは、あくまで僕個人の体験です。
すべての人に当てはまるわけではありませんし、誰もが立ち止まるべきだ、などと言うつもりもありません。
ただ、もしあなたが今、僕と同じように仕事に追われる日々のなかで、漠然とした不安や違和感を抱えているのなら、少しだけ立ち止まって、自分の心と向き合ってみる時間を作ってみてはいかがでしょうか。

僕のように、劇的な変化がなくても、心の片隅にある「小さな気づき」が、未来を変えるきっかけになるかもしれません。
32歳で僕が立ち止まった日の話が、誰かの心に響けば幸いです。

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