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あえて『仕事ができないフリ』を半年間続けてみた結果。心のゆとりと引き換えに僕が失った、サラリーマンとして致命的なもの

毎日、遅くまで残業をして、上司の顔色を伺う日々。「もう、限界かもしれない……」。ある日、鏡に映った自分の疲れ果てた顔を見て、私はそう呟きました。

真面目に頑張れば頑張るほど、なぜか仕事が増えていく。そんな悪循環から抜け出すために、私はある「危険な実験」を思いついたのです。それが、あえて「仕事ができないフリ」を半年間続けることでした。

結果として、私は念願の「心のゆとり」を手に入れました。しかし、それと引き換えに、サラリーマンとして最も致命的なものを失ってしまったのです。

限界だった私が「できない部下」を演じ始めた理由

当時の私は、いわゆる「断れない性格」でした。上司から「これ、今日中にお願いできる?」と言われれば、心の中で「無理だよ……」と泣きそうになりながらも、「はい!喜んで!」と笑顔で引き受けていました。

その結果、私のデスクには書類が山積み。毎晩22時過ぎまでオフィスに残り、同期が楽しそうに飲みに行っているのを横目で見る毎日。そんなとき、ふと思ったのです。

私の心の中の叫び:
「なんで真面目にやってる私だけが、こんなに苦しい思いをしなきゃいけないの? いっそのこと、仕事ができない人になれば楽になれるんじゃないか?」

この思いつきが、すべての始まりでした。私は翌日から、周りを欺く「大作戦」を実行に移したのです。

あえて仕掛けた、3つの「できないフリ」

私が徹底したのは、以下の3つの行動です。

  • 指示された仕事の提出を、あえて期限ギリギリにする。(早く終わってもデスクの奥に隠しておく)
  • 「すみません、ここがどうしても分からなくて……」と、何度も初歩的な質問をする。
  • 「私には荷が重いです」と、自信なさげな表情を常にキープする。

最初は「サボっている」と思われないか、心臓がバクバクしました。しかし、人間というのは不思議なもので、数週間もすればこの「頼りないキャラ」が板についてきたのです。

手に入れたのは、夢にまで見た「圧倒的な心のゆとり」

作戦を始めて3ヶ月が経った頃、劇的な変化が訪れました。上司が私を見る目が「優秀な若手」から「手のかかる部下」へと変わったのです。

何か新しい仕事を振ろうとするときも、上司は私のデスクの前で立ち止まり、「あ、いや、やっぱり〇〇君に頼むわ」と、隣の優秀な同期に仕事を振るようになりました。

「やった、ついに勝ち取ったぞ……!」

心の中でガッツポーズをしました。私の仕事量は全盛期の半分以下になり、毎日定時の18時にはパソコンを閉じることができるようになりました。家でゆっくりお風呂に浸かり、大好きなテレビを見る時間が増え、肌荒れも消えていきました。まさに、夢に見た「心のゆとり」を手に入れたのです。しかし……。

半年後に気づいた、私が失った「致命的なもの」

実験を始めて半年が経ったある日、社内で大きな新規プロジェクトが立ち上がることになりました。メンバーには、かつて私と同じように残業で苦しんでいた同期たちの名前が並んでいました。しかし、私の名前はどこにもありませんでした。

「今回は、本当に動けるメンバーだけで固めたから」

上司が会議でそう言ったとき、冷たい水が背中を流れ落ちるような感覚がしました。そのとき、周りの同僚たちが私を見る目に、かつてのような「仲間としての信頼」はなく、「仕事ができない、戦力外の人」を見る生ぬるい視線しかありませんでした。

私が失ってしまったもの。それは、「社内での信用」と「自分のプライド(牙)」でした。

一度「できない」と思われると、もう二度とチャンスは来ない

「そろそろ、本気を出そうかな」と思っても、時すでに遅しでした。一度失った信用を取り戻すのは、失うときの何倍も大変だったのです。簡単な仕事しか任せてもらえず、毎日が退屈で、自分がどんどん「ただ時間を潰すだけの抜け殻」になっていくのを感じました。

大切な気づき:
仕事が忙しくて苦しいのは辛いけれど、誰からも期待されず、社会から必要とされていないと感じる孤独は、それ以上に心が削られるものでした。

もし、今の仕事が辛くて「逃げ出したい」と思っているなら、やり方を変えることは大切です。でも、「できないフリ」をして自分を安売りすることだけは、絶対におすすめしません。失った信用を取り戻すために、私はその後、1年以上も地を傷だらけになりながら努力を続けることになったのですから。

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