「おしっこはトイレで完璧にできるのに、どうして……」
3歳になったばかりの息子は、おしっこの時は自分から「トイレに行く!」と言って、嬉しそうに便座に座ってくれます。しかし、うんちの気配がした瞬間、息子の態度は一変するのです。
「パパ、オムツ!オムツ履くの!」
お尻を押さえながら、半べそでオムツを要求してくる毎日。トイレに誘おうものなら、「いやぁぁぁ!トイレでは出ないの!」と、この世の終わりかのように泣き叫んでいました。僕のトイトレ(トイレトレーニング)の壁は、想像以上に分厚く、高かったのです。
「おしっこは完璧なのに…」立ちはだかった、うんちトイトレの分厚い壁
「オムツじゃなきゃ、絶対に出さない!」と泣き叫ぶ息子
ある日の夕方、息子が部屋の隅でもじもじし始めました。あ、これは来るな、とすぐに分かりました。
「〇〇くん、うんちかな?トイレに行ってみようか?」
僕が優しく声をかけると、息子は首を激しく横に振りました。
「ダメ!オムツ履く!オムツじゃなきゃ、うんち出ないの!」
無理にトイレに連れて行こうとすると、体をピンと硬くして大号泣。結局、オムツを履かせると、お部屋の隅っこで踏ん張って、数分後にはスッキリした顔をしています。
片付けをしながら、僕は心の中でため息をついていました。
(どうしておしっこはできるのに、うんちはダメなんだろう。僕の教え方が悪いのかな……)
💡【僕の当時の心の声】
「お友達はみんなトイレでできているのに。早くオムツを卒業させなきゃ」という焦りばかりが募っていました。
否定するのをやめてみた。息子の「こだわり」に寄り添った1ヶ月
トイレを「怖い場所」から「安心できる秘密基地」へ
ある日、焦るあまり「もうオムツはないよ!」と嘘をついてしまいました。すると息子は、丸一日うんちを我慢してしまったのです。お腹が痛くて泣く息子を見て、僕は猛烈に反省しました。
「ごめんね。もう嘘はつかない。無理にトイレに行かなくてもいいよ」
この日を境に、僕は「否定しない」と決めました。息子の「オムツで踏ん張りたい」という強いこだわりを、まずは丸ごと受け入れることにしたのです。
「そっか、オムツがいいんだね。じゃあ、まずはオムツを履いたまま、トイレの部屋で踏ん張ってみる?」
そう提案すると、息子は少し驚いた顔をしましたが、「……うん、いいよ」と小さく頷いてくれました。これが、僕たちの小さな一歩でした。
ついに訪れた、その瞬間
それからの1ヶ月は、本当にスモールステップの連続でした。
まずは「オムツを履いたまま、トイレの便座に座ってうんちをする」練習から始めました。
「パパ、ここに座るの?」
「そうだよ。オムツ履いてるから安心だよ。パパが手を握ってるからね」
最初は座るだけで何も出ませんでしたが、何度も「ここで踏ん張る感覚」を繰り返しました。トイレの壁には、息子が大好きな新幹線の写真をたくさん貼り、暗いトイレを「大好きな秘密基地」に変身させました。
そして、ついにその時が来ました。
ある日、いつものようにオムツを履いて便座に座っていた息子が、ふと言ったのです。
「パパ……オムツ、脱いでもいい?」
心臓がドクンと跳ねました。でも、ここで興奮してはいけないと自分を落ち着かせ、「いいよ、ゆっくり脱いでみようか」と答えました。
オムツを外し、小さな白いお尻を便座に乗せます。僕の手をぎゅっと握りしめる息子の手には、じっとりと汗がにじんでいました。
「大丈夫だよ、パパがずっとここにいるからね」
「……んんーーーっ!」
ポトン。
小さな音が響いた瞬間、僕と息子は顔を見合わせました。
「できたあぁぁぁ!」
息子は飛び上がって喜び、僕は涙が出そうになるのを必死でこらえながら、息子を抱きしめました。「すごいね!自分でできたね!」と、何度も何度も頭を撫でました。
焦らなくて大丈夫。子どものペースを信じることの大切さ
あんなに頑なにオムツを求めていた息子が、今では「パパ、うんち!」と元気にトイレに走っていくようになりました。あの激しい抵抗の日々が、まるで嘘のようです。
トイトレのノウハウ本には色々な方法が書いてありますが、一番大切なのは、テクニックではありませんでした。「子どものこだわりや恐怖心を否定せず、まずは寄り添うこと」。ただそれだけだったのだと、今になって痛感しています。
今、同じように「どうしてうんちだけできないの?」と悩んでいるパパやママへ。
どうか自分を責めないでください。子どもには、子どもなりの理由とタイミングがあります。その「こだわり」を否定せずに、ゆっくり一緒に歩んであげてくださいね。